今の世界に必要なのは腐るお金だ!「エンデの遺言」
2019/11/30
欧州や日本ではマイナス金利が導入され、腐るお金(ゲゼルマネー)に注目が集まっています。
『エンデの遺言』から一部抜粋して、貨幣経済の問題と腐るお金の有効性について書きます。
貨幣経済の問題点(ロシアバイカル湖のお話)
紙幣導入前
湖畔の人々は紙幣がその地方に導入されるまではよい生活を送っていた。
日により漁の成果は異なるものの、魚を採り自宅や近所の人々の食卓に供していた。
毎日売れるだけの量を採っていた。
紙幣導入後
同時に銀行ローンもやってきた。
漁師たちはローンで大きい船を買い、効果が高い漁法を採用した。
冷凍倉庫が建てられ、遠くまで運搬できるようになった。
ローンを利子つきで返すため、競うように魚を早くたくさん採ることに努めた。
バイカル湖の最後の一匹まで採り尽くされた。
貨幣経済の問題点のまとめ
貨幣経済は自然資源と調和していない。
パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と株式取引所で扱われる資本のお金は異なる種類のお金。
先進国の資本は増えつづけ、世界の5分の4はますます貧しくなっていきます。
成長は無からくるのではなく、どこかがその犠牲になっている。
貨幣を実際になされた労働や物的価値の等価代償として取り戻すためにはいまの貨幣システムの何を変えるべきなのか、ということです。
これは人類がこの惑星上で今後も生存できるかどうかを決める決定的な問いである。
腐るお金(ゲゼルマネー)
お金は老化しなければならない
お金で買ったものは消費される
- ジャガイモは食べれば
- 靴は履きつぶせば
しかしその購入に使ったお金はなくならない
その結果、モノとしてのお金と消費物資との間で不当競争が行われている。
お金も経済プロセスの終わりにはなくなるべき。
ゲゼルマネーの実践例
1929年の世界大恐慌後のオーストリアのヴェルグルという町での話。
町の状態
負債を抱え、失業者も多かった。
老化するお金のシステム
町長が現行の貨幣のほかにこれを導入した。
一ヶ月ごとに1%ずつ価値が減少する。
町民は毎月1%分のスタンプを買って老化するお金に貼らなくてはならない。
導入後の結果
このお金はもっていても減るので皆がそれをすぐに使った。
お金は持ち主を変えれば変えるほど購買力が大きくなる。
お金を借りても利子を払う必要がないので、皆がお金を借りて仕事を始めた。
二年後に失業者の姿が消え、町の負債もなくなった。
しかし、オーストリア政府が
紙幣の発行は国の独占的な権利である
という理由でこのお金は禁止されてしまった。
腐るお金(ゲゼルマネー)のまとめ
お金は永続性があり、腐らないからこそ価値が高く、みんながそれを貯めこんでしまい、経済が回らなくなる。
循環しない貨幣は世界を大きな危機に人類を貧困に陥れます。
エンデはその問題を指摘しており、どうすればよいのかをひたすら考えています。
マイナス金利について否定的な考えの人も一度は読んでみて欲しいです。