海外資産を多く持つ人は注意。購買力平価では今後円高に進む
2020/02/08
為替相場は何で動く?
短期:金利
高金利通貨は短期的には金利目当てで買われやすい。
金利を出すと本来はその分通貨価値が落ちる。
価値の下落で為替レートが下がるはずが逆に上がっているので、歪みがたまっていく。
ある時、大きな為替下落が何度も発生し、歪みが解消される。
高金利通貨が長期で下落することは地震と同じ
いつ来るかはわからないけれど、必ず来る。
中期:貿易・経済収支
▼例:日本が米国に対して貿易黒字の場合
貿易黒字国(日本)は輸出企業が貿易で得た外貨を円に変えるため(ドル売り円買い)、円が強くなりやすい。
長期:購買力平価(インフレ率格差)
- インフレの国の通貨:長期的には売られる
- デフレの国の通貨:長期的に買われやすい
購買力平価
インフレ率の差で為替が決まるという考え方
購買力平価の例
日本と米国で売られている同じ消しゴムの値段
- 米国:1ドル
- 日本:100円
同じ消しゴムだから、それを買うためのお金の価値も同じ。
1ドル=100円という為替レートが正しい。
1年後の日本と米国で売られている同じ消しゴムの値段
- 米国はインフレ:1ドル⇒1.6ドル
- 日本はデフレ:100円⇒80円
為替レートが1ドル=100円のままだった場合
日本で80円で消しゴムを買って、それを米国で売れば1.6ドルが手に入る。
1.6ドルを日本円に戻せば、160円もらえる。
160円-80円で80円の儲け
儲かるからみんなこうした取引をする。
この取引は外貨を円に変えるので円高になる。
儲からなくなる(為替レートが1.6ドル=80円になる)まで繰り返される。
同じ消しゴムなのだから、異なる通貨でも同じになるように調整されるという考え方が購買力平価。
米国よりインフレ率の高かった国
- メキシコ
- アイスランド
為替が米ドルに対して下落
米国よりインフレ率が低かった国
- 日本
- スイス
為替が米ドルに対して上昇
現在のドル円の購買力平価

購買力平価(企業物価):95.08
実勢相場:110.01
購買力平価だけを考えると今後円高に進む可能性が高い。
海外資産を多く持っている方は注意が必要です。
国際通貨研究所が最新の購買力平価情報を公開してくれています。
購買力平価の限界
- 各国独自の事情を考慮していない(日本の量的緩和政策等)
- 消費税が高い国は同じものでも値段が高くなる
- 自由競争市場が成立している前提なので関税などの考慮がない
昔は1ドル=1円だったって知ってますか?
明治維新後、1871年に新貨条例で「両」→「円」に変わり、レートが1ドル=1円に設定された。
戦前まで、1ドル2~4円程度で推移していたが、終戦後は年に何百パーセントっていう超インフレの状態が続き、円が急落し1ドル=360円となった。
1ドル=360円というレートは、終戦後の超インフレによる通貨価値の激減を反映して決められた。
以前から気にはなっていたんですよ。他の通貨は1ドルに対して1に近い数字なのに、円だけがやたらと離れている。戦後のハイパーインフレが原因だったとは。
約10年ほど前1ドル70円台ですごい円高って言われてましたが、戦前に比べると全然大したことないですね(笑)。