日本でも実現可能な新ベーシックインカム論。変動BIでインフレを実現

   

この記事のもくじ

 
 

ベーシックインカム(BI)とは

日本でも実現可能な新ベーシックインカム論。変動BIでインフレを実現

収入の水準に拠らずに全ての人々に無条件に、最低限の生活を送るのに必要なお金を一律に給付する制度。

ベーシックインカム(BI)の特徴

  • 普遍主義的社会保障
  • 世帯ごとではなく個人単位で給付
  • 「労働」と「生存」を切り離す制度
 

貧困者支援

  • 生活保護
  • 雇用保険
  • 児童手当
  • 児童扶養手当

障害者支援

  • 年金保険
  • 介護保険
  • 医療保険
  • 特別障害者手当
BIは貧困者支援の全てにとって代わることができるが、障害者や傷病者の支援の代わりにはなり得ない。
 
 

ベーシックインカム(BI)のメリット

貧困の理由が問われることがない

生活保護は貧困の理由が問われる。

労働意欲が削がれない

生活保護と違って働いた分だけ給付額を減らされない。

所得格差が是正される

支給額は同じだがお金持ちほど高負担な為、格差は是正される。

安心して暮らせるようになる

全員が食いっぱぐれない。

人が真の意味で自由になる

やりたいことを追求し続ける自由が実質的にも存在する社会となる。
現状は稼ぐために働く必要があり、稼ぎにならないことを続ける自由は実質的にはない。
 
子供と過ごす時間を増やせる。
十代の若者が家計を支えるための労働をしなくて済む。

地方に住んだ方が豊かな暮らしが営める

BIによる収入が同じならば、コストが安い地域の方が豊かな暮らしができる。

既存の社会保障制度を廃止できる

社会保障に費やされる事務手続きや行政コストも大幅に削減される。
 
 

ベーシックインカム(BI)のデメリット

給付額が多いほど労働意欲は低下する

ただし低額であればそれほど低下しない。

ハンディキャップを負っている人には厳しい制度

重い病気や障害者に対しては別途給付が必要。

制度を悪用できる

収入を得る目的で子供をたくさん産ませ、そのお金を子供の為ではなく博打等に費やし、労働も子育てもしない。
 
 

生活保護とは

経済的に困窮する国民に対して、国や自治体が、健康で文化的な最低限度の生活を保障する公的扶助制度。

生活保護の特徴

  • 選別主義的社会保障
生活保護基準以下の収入しかない世帯のうち、給付を受けていない世帯が8割だといわれている。
貧困層の生活は生活保護の受給を受けられるかどうかで、天国と地獄ほどの開きが生じる。
 

水際作戦

病気を患っていても、生活保護の窓口で申請を拒絶される。
 

資力調査

申請が受理されたとしても、受給するには本人だけでなく家族や親類の収入や貯蓄まで調査され、基準をクリアする必要がある。
 
 

世界でBIに関する議論が盛り上がっている理由

人工知能(AI)やロボットが多くの人々の雇用を奪うようになるのではないかという予想。

ベーシックインカム(BI)に求めるもの

格差の拡大や貧困の増大を改善する手段。
最低限度の生活の保障(生活保護は期待できない)。

BIはこれらの問題をある程度解消することができる

  • ブラック企業に入っても辞められない
  • 病気を患っても働き続けなければならない
  • 暴力を振るう夫と離婚することができない
  • 十分な期間育休をとることができない
  • 少子化(子だくさんは給付が多い)

1974年カナダのBI実験の結果

  • DV(ドメスティックバイオレンス)が減少
  • 育休期間が長くなった
  • 住民のメンタルヘルスが改善
  • 交通事故が減少
  • 病気や怪我による入院の期間が大幅に減少する
  • 学生の学業成績が向上する
  • 労働時間の減少 男性1% 女性3%
BIによって時間や気持ちにゆとりができることが、あらゆる方面にわたって望ましい波及効果をもたらした。

今後必要なベーシックインカム(BI)の実験

「狭く深く」の実験は効果が実証された。
これからは「広く浅く」の給付の実験が必要。
国民全員に1万円や2万円といった少額給付を試験的に導入。
少しずつ給付額を増やして、GDPやインフレ率がどのように変化するのかを検証する必要がある。
 
 

ベーシックインカム(BI)の財源の問題

1人に対して月7万円、年84万円を給付するには

年間約100兆円の増税が必要
 
ただし給付もされる為、下記のように考えられる。
給付額-増税額
自分の納めた税金が給付となって返ってくる。
 
金持ちほど増税額が増えるとすれば
  • 富裕層はマイナス(損)
  • 貧困層はプラス(得)
  • 中間層はプラマイゼロ

生活保護の方がBIよりも実質的なコストがかかる。

お金が政府と国民の間をただ行き来するだけならば実質的なコストは生じない。
 
実質コストとは
お金を使うことではなく、労力を費やすこと
 

生活保護の場合

申請者の収入や財産を調べる必要がある。
選別のための行政コストが掛かる。

BI本著者原田氏のBI財源案(2012年度予算)

  • 老齢年金16兆円
  • 子ども手当1.8兆円
  • 雇用保険1.5兆円
  • 公共事業予算5兆円
  • 中小企業対策費1兆円
  • 農林水産業費1兆円
  • 福祉費6兆円
  • 生活保護費は医療費を除く1.9兆円
  • 地方交付税交付金1兆円
合計約36兆円。これらをBIの財源とする。
こうした予算は雇用や所得を無理やり作りだすために存在しているので、BIが導入されればその必要性が低くなる。
 
100兆円-36兆円=64兆円
 
全額所得税でまかなった場合、一律25%引き上げが必要
 
年収400万円の場合、100万円の増税。
ただし給付が84万円なので、
100万円-84万円の純負担が16万円
  • 年収336万円未満の人は受益者となる
  • 年収336万円以上の人は純負担となる
現在の最高税率45%で25%を足すと70%にもなる。
ここまで高いとさすがに現実的ではない。

その他の財源案『相続税の一律30%引き上げ』

現在の最高税率は55%なので85%となる。
相続財産は年間80兆円。
増加する税収は24兆円。
 
100兆円-36兆円-24兆円=40兆円
 
全額所得税でまかなった場合、一律15%引き上げが必要
 
所得税の最高税率は60%となる。
これでもかなり高い。
 
 

固定BIと変動BI

固定BI(ベーシックインカム)とは

  • 最低限の生活を保障するためのBI
  • 安定した財源が必要
  • 給付額は短期的には変更されない

変動BI(ベーシックインカム)とは

  • 景気をコントロールするためのBI
  • 給付額はインフレ率や失業率に応じて変動させる
  • デフレ時:給付額を増やす
  • インフレ時:給付額を減らす

変動BIの財源:貨幣発行益

1万円札の製造コストは1枚あたり約20円なので、残り9980円が貨幣発行益となる。

変動BIの実施方法

  • 中央銀行が政府から直接国債を買い入れる
  • 目標のインフレ率より低い:国債の買い入れ額を増やす
  • 目標のインフレ率より高い:国債の買い入れ額を減らす
  • 政府は買い入れ額を変動BIとして給付

BI(ベーシックインカム)実現への道

変動BIを使い1年目は国民全員に毎月1万円の給付。
1年ごとに給付を1万円ずつ増やす。
 
この過程でインフレ率が2%を大きく上回り続けたら財源を国債から税金に切り替え固定BIにする。
 
 

AI時代の新・ベーシックインカム論の感想

正直、目から鱗でした。

障害者支援を削除する時点で実現は絶望的と考えていた

今ある貧困者支援と障害者支援を削減して、それをベーシックインカムの財源とするという考えに凝り固まっていました。
BIの弱点である、障害者支援を残したまま、実現できれば理想的な社会になりそうです。

固定BIの財源は現実的ではない

お金持ちは税が高ければ高いほど頭を使って節税してくるはずなので想定より集まらないでしょう。
 
▼他の財源案

消費税

結局節税しにくい消費税を財源にするのが一番なのかもしれません。
当然軽減税率は廃止で高所得者の方が恩恵を受けれる制度に意味はあるのでしょうか?
その分、BI額を増やせば軽減税率は不要です。
 

選択式相続税、贈与税

『相続税、贈与税100%』を選択することでBIの貰える額を増やせる。
これを選択する人は貰った額全て使ってくれそうなので景気にも良い影響がでるでしょう。
ただ現状、抜け道が多すぎますね。キャッシュレス化が進めば実現できそうです。

変動BIの実施すれば2%のインフレ目標はすぐ達成する

  • 量的緩和政策
  • マイナス金利政策
これらより効果がある政策なのですぐにでも実施して欲しい。
インフレを抑えるのも支給額を減らすか、財源を税金にするだけで達成できるのでハイパーインフレの心配もありません。

AI化が進めば格差は拡大する

現状でも格差がひどい状況なのに、AI化が進めば格差はさらに拡大するでしょう。
AI化によって本来は楽になるべきなのに、一部の人が利益を独占することにより、より働かなければならない状態になる。
現制度が時代に追い付いていない弊害です。
今からそれに対応する制度を用意する必要があります。
 
 

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