賢い指数(スマートベータ)とは。インデックスの弱点を克服した投資法
賢い指数(スマートベータ)とは

数年前から米国の運用業界を中心に広がり急成長している新しいタイプの指数。
日本では、2014年にGPIFが国内株式運用にスマートベータ型アクティブ運用を採用した。
イメージとしてはアクティブ運用とパッシブ運用の中間
インデックス投資の弱点とは
インデックス投資はTOPIXのような時価総額割合で作られている指数に連動する為、株価上昇で時価総額が大きくなった銘柄を多く買うことになり、割高株を多く抱え、割安株を少ししか持たないことになる可能性が高い。
こうした伝統的な指数運用から脱却し、より高い収益を目指そうというのがスマートベータ型投信。
TOPIX(東証株価指数)とは
東証1部上場の全銘柄を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計して計算。
時価総額の大きな銘柄(大型株)の値動きの影響を受けやすい。
スマートベータがインデックスと似ている点
特定の指数やルールによって組入銘柄や比率を機械的に決める。
スマートベータがインデックスと違う点
- 市場平均を上回る成績を目指す
- 銘柄の組入に際して時価総額(株価×株式数)に縛られない
- コストはインデックス型投信より高いが、銘柄を選別するアクティブ型投信に比べると安い
スマートベータの4つの戦略
企業規模(企業価値)
株主資本や当期利益などから見た企業規模を重視。
時価総額の変動の影響を受けないため、割高株を買わない効果がある。
例1:野村RAFI日本株投信
信託報酬(税込):1.10%
過去7年でTOPIXを1割弱上回っている
例2:ダイワ・インデックスセレクト新興国株式
信託報酬(税込):0.648%
代表的な新興国株指数を2000年以降で2倍超上回っている
低リスク型戦略(最小分散)
リスクが小さくなるよう銘柄を組み合わせ、ファンド全体の収益向上を目指す。
伝統的な投資理論ではリスク(値動きのブレ)が高いほどリターンも大きいとされてきたが、運用の現場ではリスクを抑えたほうがリターンが高くなるという声も。
例:DIAMの個人向け新興国中小型株ファンド
信託報酬(税込):2.09%
逆風相場のなかで下振れが小さいことが寄与し、新興国の株式指数を上回っている
等金額投資戦略
すべての銘柄を等しい金額で持つ戦略。
株価が上がった銘柄を一部売却するので、割高株の持ち分を減らす効果がある。
例:野村日本株高配当70
信託報酬率(税込):0.35%
高配当の銘柄を選んだうえで等金額で持つ。指数はTOPIXを長期で大きく上回る
クオリティ
ROEや財務レバレッジが良好な銘柄を選定。
例:JPX日経400
信託報酬率(税込):0.5885%
・資本の効率的活用
・投資者を意識した経営観点
などのグローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした400銘柄
GPIFが運用指数に採用している。
その他
高配当型、小型株、PER(成長性)、PBR(割安度)など数多く存在する。
賢い指数(スマートベータ)の今後
スマートベータはまだ歴史が浅い手法で、これまでの効果が今後も続くかは未知数。
全体に対するインデックス投資の割合が増えるとインデックス投資が儲かりにくくなるのと同様に、スマートベータも投資割合が増えすぎると効果は減退する。